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-魔王城 客室-
射し込む日射しにゆっくりと、意識が浮上する。すぅっと瞼を開くと、見慣れぬ天井が見えた。
(あれ………ここ、どこだ?俺、どうしたんだっけ?何か、スゲー変な夢見た気がする。)
勇者として異世界に召喚されたり、世界の命運押し付けられたり、魔王に遭遇して、あまつさえ攫われたり、その魔王に『美しい』とか言われたり、三人の息子(王子)がいたり。
どうせなら、攫われたお姫様を救う騎士とかの夢を見たかったんだが………。まぁ、夢は夢だからな。
それより、勇者を攫う魔王ってのも、かなりアレだが、魔王に攫われる勇者ってのもどうか、と思うんだが。
テンプレなら、そこはポピュラーにお姫様を攫えよ、と思わずにいられない。所詮、夢だから、何を言っても仕方ないけど。
けれど。本気でここはどこなんだろうか。どう考えても見慣れない場所で。室内を見渡す限り、リアルに『世界の豪邸訪問』的なのである。
とすれば、考えうるのは…………………いやいや、ないない。流石にアレは『夢オチ』だろ?幽霊とか妖怪とかはいてもおかしくないけど、異世界とかあり得ない。
百歩譲って、パラレルワールド程度なら、ともかく。ファンタジーである以上、パラレルワールドではないのだから。
俺はオカルトはまだしも、超常現象の類いは信じていない。オカルトはロマンだけど、超常現象にロマンはない。
って言うか。俺は逃げた方がいいんだろうか?でも、逃げたら殺すと言うようなら、困るし、すぐ捕まりそうなんだよな。
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