魔王城での目覚め

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 そう言えば、何となく躰が軽い………と言うか、調子が良いような気さえする。こんなこと学生時代以来だろう。  三十路前とは言え、二十代も半ばを過ぎれば、新陳代謝とて衰えてくるわけで。まだ、そんなに気にするほどではないだけだ。  男の盛りは、三十路になってからだから。俺はまだ二十代だしな、うん。でも、厨二病患ってそうな青二才から見れば、俺だって充分『オッサン』なんだろうが。  俺は人から『中性的』だとよく言われるが、決して女顔でも、童顔でもない。ついでに、乙女思考でもなく女装趣味もない。  自分で言うのもなんだが、いたって普通のエリートリーマンだ。そんな俺が、何故こんな事態に巻き込まれたんだか………。  いや、俺自身が当事者だから、巻き込まれたワケではないか。そう考えれば、無関係な他人に巻き込まれるよりマシと言えるんだろうか……………言えるか、本当に?  いや、言えるわけないだろ?!普通に考えて!!何なんだよ、『異世界』って………。  『転生』だろうと『転移』だろうと、ねーわー。マジで本当にねーわ。望んでもないし、願ったこともない。  世界を救ったり、魔王を倒したり。『勇者』と言っても、人間なんだから、限界あるだろ?
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