魔王城での目覚め

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 俺が可愛かったり、綺麗だったり、妖艶だったりすれば、別だけど。奴等、俺なんかにになるのか?  と言うか。奴等、ゲイなの?バイなの?何なんだよ。何故に普通に、聖女やらお姫様やらを攫わない?そんな斜め上を突っ走る意外性とかに、ときめいたりとかないから!  そもそも。勇者(仮)を攫って、どうしようと言うのか?まぁ、妃だの妻だの嫁だのと言ってたけども。  元々、そう言うつもりで攫ったワケでもないんだろうし。自分で言うのも何だが、俺は中性的なイケメンだ。あくまでなだけであって、女性的なわけではない。  したがって。少なくとも、魔王とその息子どもは、ノーマルじゃないとしか言えまい。バイであっても、それこそノーマルじゃないのだから。 -コンコン、ガチャ  ノックの直後、ドアが開いた。え、俺返事してない。返事する間もなく、ドア開けるくらいなら、ノックの意味ないじゃないか! 「あ、やっぱり。目が覚めたんだね、勇者。そろそろ目が覚める頃かなって思って。 取り敢えず、服はこれを着て。僕のだけど、勇者は華奢だから大丈夫だと思う。」  うん。若干、アレな言葉が混ざってたけど、いい子だな~。魔王の息子が優しいってのも、おかしな話なんだろうが、ありがたいことには変わらない。 「で、これ食べて。あ、大丈夫だよ。普通の食事だから。」  魔王の息子──ミディルナートと言うらしい──が言うには、誤解されがちだが、魔族であっても食べるものは、人間のものと同じであるらしい。  事実。彼が渡してくれた食事は、コンソメ風味のチーズリゾット………擬きだったから。
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