魔王城での目覚め

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「あ、美味しい。そう言えば、昨日(現実世界)の昼以降、何も食べてなかったっけ。」    終業後の帰宅途中に、この世界に召喚されたからな。当然、夕食前だったわけだ。 「そう、良かった。厨房係には、僕から伝えとくね。喜ぶと思うんだ。」  改めて見ても。やっぱり、この子………かなりの美形だ。可愛い感じで、現実世界なら顔だけで生きていけそう。  スカウトマンの名刺とか100や200を束で持っていて当たり前な感じ。いや、既にデビューしていても、おかしくない。  魔族だからなのか、とも思ったが。そう言えば、俺を召喚したローブ姿のオッサンどもも、見えた限りはナイスミドルだったような………?  どうやら、異世界の顔面水準は高いらしい。う、羨ましくなんかない、断じて! 「えっと………ミディルナート、って呼んだらいいのか?俺は水咲 奏。カナデでいいよ。勇者って呼ばれるのは、ちょっとな。」  実際。攫われた時点で、勇者になり損なったわけだしな。元凶、こいつらだけど。 「そっか。じゃあ、カナデ。僕もナートでいいよ。父様や兄様達は、そう、呼ぶし。 昨日も思ったけど、やっぱりカナデは綺麗だね。カナデみたいな綺麗な人間、初めて見たよ。異世界の人間って、みんなそうなの?」  ……………昨日の魔王の言葉は、どうやら聞き間違いではなかったらしい。ってか、この子(ナート)や魔王や他の二人の方が、よっぽど美形だよ。  この子含んだ彼等の目が悪いのか。はたまた、異世界の美的感覚が、現実世界の通常と異なっているのか。  魔王を筆頭とした全員が目ぇ悪いとかあり得ないし………多分、後者なんだろうとは思うが………。
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