魔王城での目覚め

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「そんなわけないでしょ?だって、さっきからカナデ………心の声、だだ洩れだからね?」  溜め息つきつつ、呆れたような表情と声で告げられる。くっ、自分の半分近く程度しか生きてないような子供に言われるとは、何たる屈辱。  いや、魔族なわけだから、見た目通りの十代半ばではないのかも知れないが。その上、俺が何故か若返ってるから、それほど年齢(とし)は変わらない外見なんだが………。  ナートは一人称が〝僕〟だし、言葉遣いや仕草が子供っぽい。しかも、くりくりとした目は澄んでいて。なんと言うんだろう………『仔犬系美少年』とでも評すればいいのか。この目で見られると、何も言えなくなる。  無類の犬好きの俺には、効果抜群だ。わかっていてやっている確信犯ではない分、余計〝邪険〟には扱えない、と言うか………。 -つまり、端的に言って、普通に可愛いんだ  が-  彼女曰く『可愛いは正義』らしい。当時はわからなかったが、今なら痛烈にわかる。うん、ナートは可愛い。これだけ可愛ければ、愛でて当然だ。  俺もこんな可愛い弟がほしかったな~。俺には兄弟いない………と言うか、一人息子だったから。  一人暮らしする時と、結婚(婚約)報告した時、両親の説得に骨が折れた。特に母さんな。  とは言え。ナートは兄が二人いるわけだが、末っ子なら可愛がられただろうと思う。
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