魔王城での目覚め

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 この異世界が、ラノベ何かによくある『乙女ゲーム』?って言うのか?女性ユーザーを対象にしたゲームの世界だとか、それに類似した世界だと言うのならば、バカみたいな美形率も頷けるんだか。  十年以上前に、ゲームを卒業している俺には、判断が付かない。いや、主人公が勇者(おとこ)なら、『乙女ゲーム』とやらである可能性は低かろう。 (※ゲーム関連に疎い奏は、女性ユーザーを対象にした『BLゲーム』と言うジャンルがあることを知らない。)  それ以前に、この異世界が何らかのゲームや、それに類似した世界なのかどうかすらも、わからないんだが………。  まぁ、それがわかったところで、何がどうなるわけでもないが。だって、俺は最近のゲームなんて知らないのだから。  辛うじて、人気があるらしい『モ〇ハン』とかの名前を聞いた覚えがあるくらいだ。彼女が『ポケ〇ンGO』にハマってたとかな。  本当にゲーム関連から遠ざかって十年以上だ。スマホのゲームなんかもやってないしな。  PCゲームも、また然りだ。今は、仕事も私生活も充実していたし、何の不満もなかった。  荒唐無稽で、実現不可能な夢を見る頃も過ぎていて………。地に足を付けた堅実な人生を、彼女と共に歩んでいければ、それだけで良かったんだ。  何もない、平凡な人生………ありふれた日々が、どんなに大切だったか。失う前から、俺は気付いてた、知っていたんだ。  それなのに。何故、俺でなければならなかったのか?俺は中性的なイケメンで、エリートリーマンだ、自惚れじゃなく。しかし、俺よりもイケメンで、俺よりもエリートなリーマンなぞ、それこそ掃いて捨てるほどいるだろう。
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