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静かな廊下
重い荷物の入ったリュックを両手で抱えて、私はトイレの横にある静かな廊下で待っていた。
ガタガタと椅子を引ずる音がすると、教室からはたくさんの生徒が教室を出て来た。
その中には私が待つ人の姿はない。
彼女はいつも遅くまで教室で友達とおしゃべりしてから私の所へ来る。
人を待たせているよいう自覚がないのだ。
私は重たいかばんに引っ張られるようにして、その場にしゃがみ込んだ。
「はぁ…」
ブーッブーッ
携帯が振動して、画面が光った。
表示されたメールを開くとそれは_由衣@ゆい_からで、私は文字を読むとがっかりした。
『ごめん!今日用事あるから先に帰っちゃった。明日は帰れるよ♡』
先に帰っちゃったって何それ。
待ってたの私なんだけど。
帰ってすぐにこんなメール送るくらいだ、最初からわかってて先に帰ったんだろう。
私は抱えていたリュックを背負うとスカートに付いた埃をはたいた。
そもそも私がこんなところで待っているのが悪いんだけど、昇降口へ続く階段のそばはあまりにも人が多すぎて立って居られない。
私は先生に合わないように願いながら、誰もいない昇降口へと脚を運んだ。
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