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現実
「おはよう」
昨日借りた本を読んで夜更かししてしまったせいなのか、なんだか真夜中の気分のまま私は教室へ入った。
昨日は部屋に閉じこもってずっと本を読んでいたから、親がスマホをずっといじっていると勘違いしたそうでスマホを朝没収されてしまった。
それ以外は何も変わらない一日。
ただ、退屈が増していく一方で、私は昨日読んだ本を思い返した。
まだすべて読み終わったわけでもないのに、まだわくわくして仕方がない。
何人か人が死んでいく残酷なシーンもあるものの、スリリングのある感じが私にとっては喜ばしいものだった。
退屈な毎日の中で、本は私の生き甲斐だとでもいえそうなほど面白い本に出合うことができた。
あの図書館へ行ってよかった。
「で、これからどうするの?」
後ろの席で、女子たちの会話が嫌でも耳に入ってくる。
「さぁね、とりあえず片っ端からつぶしていくしかないっしょ」
潰す?
普通の会話の中ではあまり出てくる印象のない言葉だ。
もしかしたらいじめについての話?
そう考えるとなんだかぞっとする。
私はどちらかといえばクラスの中で『陰キャ』
いじめの対象になりやすいタイプ。
やだなぁ
私はカバンの中から教科書を出すと、机の中にしまった。
その時私は、しっかりと現実を見ることができていればよかったなんて後から後悔しても遅いだろう。
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