1864人が本棚に入れています
本棚に追加
「や、同意っていうか…まあ、別に嫌がらせとかそういうのじゃないから大丈夫!」
力を込めてそう力説すれば何言ってんのと声を荒らげるはるちゃん。
「そういう問題じゃないでしょ。
別に誰が付けたかは聞かないけど…、天竺は流されやすいし、心配になる」
普段、どこか掴みどころのない彼の真剣な眼差しは久しぶりに見るもので。
本当に思ってくれていることが伝わってきて、言葉に詰まる。
「……俺、本当に大丈夫だよ」
きっと、こんな環境はおかしいのだろう。
普通に働いていたら噛み跡もキスマークもついたりしない。迫られたりもしない。
自分でも変だと感じることはあるけれど、それでも。
「好きな人たちと関われて、好きなことできて、今、すごく充実してるもん」
もっと三宅家の人たちと仲良くなりたいと思う自分もいるから。
「あ、もちろんはるちゃんも好きな人の中に入ってるからね!」
相談に乗ってくれて、心配してくれてありがとうの気持ちを込めて言葉にすれば、はるちゃんはぎゅっと顔を顰めた。
「そんなの当たり前でしょ。
逆に僕以外の好きな人たちって誰なのさ」
「ふふ、それはないしょー」
いつかはるちゃんに、3人のことを相談できる日は来るのだろうか。
今は話せる勇気はないけど…。
はるちゃんならきっと、どんなことを言ったって受け入れてくれそうだな。
「あ、ちょっと何にやにやしてんの?」
「それもないしょー」
じゃれあいながら、素敵な友人を持てたことを幸せに思う午後なのだった。
最初のコメントを投稿しよう!