エピローグ

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もうどれくらい経っただろう。 いきみ逃しのために変な体勢でベッドに転がっていた私が寝返りをうったときだった。 突然パンっという感覚にはっとなる。 じわじわと漏れてくるそれは明らかに破水したのだとわかった。 「圭佑さんっ、は、破水したっ。たぶんっ。」 「ええっ!ナースコール!」 あたふたとする私たちに、たまたま様子を見にきた助産師さんが冷静に対応してくれる。ついでにといった感じで子宮口の開きも見てくれた。 「いい感じに開いてきてますね。そろそろ分娩台に行きましょうか。」 ああ、やっと分娩台までたどり着いた。 あとは産むだけ。 あとは産むだけ。 呪文のように唱えるがそう簡単に赤ちゃんは産まれてくれない。 いきむのも、赤ちゃんに合わせなくてはいけない。 もうよくわからないから、そっちが私に合わせてほしい。なんて頭の中で悪態をつくと、ゴーンと痛みが襲ってきてそれどころではなくなる。 早くっ、早く産まれてきてっ! もう、限界っ!
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