きっと芽吹く

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きっと芽吹く

 朝もやが立ち込める凛とした空気の中、赤や黄色の落ち葉が大地を埋め尽くしている。 常緑樹の力強い緑色とは対照的に、葉が落ちて、空に根を張るように枝を伸ばしている落葉樹達を見るのも私は好きだ。 銀杏木のあんなに高いところに、枝が不自然に集まっている所があって、遠目でもそれが鳥の巣なのだと判る。 自然が作る確かな生命の息吹は、私にはとても美しく思える。 例えそれが、これから冬を迎えようとしている、ちょっと寂しさを感じる季節でもだ。  この公園のいつものベンチに座ろうと思うと、そこに楠木の落ち葉とドングリが置いてあるのが見えた。昨日の夕方に誰かが置いたのだと思えて、このベンチがいろんな人に愛されているのだと感じて、少し心が暖かくなる。 そのベンチの片隅の朝露をハンカチで払って、ドングリの居場所を邪魔しないように座った。 そうそう。 ここ。 ここが好きなんだよね。 そこそこ大きな川の流れと、その脇の遊歩道と、それから木々と低木の常緑樹で作られた簡単な迷路があって、並木道と人工的に作られた池がある。 それらの配置はもちろん変わらないのだけど、その風景は天候によって、大きく変わる。 だからこそ、私はこのベンチから見るこの風景が好きだ。 何も変わらないのに、少しずつ何かが起きる。 そう言うのがとてもいい。 そんな私は、少し早起きして、ここで少しだけボーッとしてから、学校に行くのが好きだ。 なんだか落ち着くんだよね。 親友のミナはそんな私に、 『カナってさ、本当に同い年? その趣味、おばあちゃんだよね~』 なんて言うけど、いつか一緒に早起きして来てみれば、この良さが判るのにって思ってる。 ・・でも、ミナのそんな言葉も最近は聞いていない。
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