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 ベッドに入ると天気が良ければ星が見える。天窓に切り取られた四角い夜空に見守られてわたしは眠りにつく。  大学進学を機に引っ越した姉の部屋を譲ってもらってから、毎晩願い事をするようになった。お姉ちゃんが第一志望の大学に受かったのもそのおかげと教えてくれたから、やらないわけはない。おかげで何となく幸運に恵まれる機会が増えた気がした。お姉ちゃんが言っていた通り、神様は願いをちゃんと聞いてくれる。  そうそう、わたしのことを説明しなくちゃね。唐沢由香と言って3月生まれ、15歳になりたてのうちに、高校生になったというわけ。親の反対を押し切って通信制高校に進学したため、お小遣いは自分で稼ぐことになった。時間はあるし、やってみたいことだから良いのだけど、何となく気持ちに余裕がなかった。学校とアルバイトを両立し、その上自由な時間を満喫したい。慌ただしくも順風に一日また一日と過ぎていく。  はたと気が付いたら校内に親しい友だちはいない。小中学生のときのべったりした人間関係に懲りていたので、無理はしなかった。しかし、この生活に慣れてくると、気の合う人がいたら楽しいだろうと思い始めた。それで、寝るとき夜空に向かってお願いしてみた。
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