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「という過程を経てゲットした新戦力です」
「お前なぁ…………」
「えっうそ色気ムンムン系エロ保健医!? ほんとに実在したんだそんなのめちゃくちゃ王道学園じゃん地獄の王様みたいな人が生徒会長だけど!」
かなり……大変……? 騙されやすいチサトくんを見せると、神薙先生は呆れたようにため息をついた。
生徒会役員旅行用客船、保健室。生徒会顧問兼なにかあった時の医者として、神薙先生はここに常駐している。
あいも変わらず無駄な色気を振り撒きながら頬杖をつく神薙先生。チサトくんは先程から何やら興奮し、使い物にならない。この状態で興奮できるのすごいな。
「まぁ、アイツが送ったってこたぁ本人も了承済みだろ。メンタルケアにだけ気をつけとけよ。あとお前ら熱測れ」
「うっす」
など言われ体温計を渡される。学校らしいなんか蓋がついてるやつだ。制服を乱し脇の下で熱を測っていると、ボードに貼られている保健だよりが目に入った。わざわざ持ってきたのか。
「あっこれよくあるやつだえっ熱なんてないですよ嘘言えお前のココはあっつあつだぜ? や、やだっみたいングゥ」
「おっさんみたいなこと言ってないで熱測ろうなぁ」
チサトくんは興奮して使い物にならないので口を開けさせて体温計をぶち込んだ。まだ何かフゴフゴ言っているがまぁメンタル壊れてるわけでもないので良いだろう。
しばらく待っていると、体温計がピピピッと鳴り始める。チサトくんの口から体温計を抜き取り、自分の分と合わせて先生に渡した。
「測れました」
「おー。平熱だな。健康的で良い」
診察書に何やら書き込み、ウェットティッシュで体温計を拭く。あっ、てか毎日出す発熱確認プリント失くしたな。まぁいっか、いずれ見つかるだろ。
「先生なんか急に保健医みたいなことするじゃないっすか。どうしたんです?」
「保健医なんだよ。あとチサト……だったか? は健康診断するからこっちこい」
「えっ!」
神薙先生が手を招いた瞬間、チサトくんの頬が真っ赤に染まる。ン?
「よ……夜の健康診断ってヤツですか!? 隅々まで検査してやるよあっやだそんなとこってやふぎゅう」
「おっさんみたいなこと言ってないで素直に受けようなぁ」
そっと後ろから抱きしめ、きゅっと〆る。別に誤解でもなくやってそうなのがまた面白いな。
神薙先生に差し出そうと顔を上げると、ぐったりしていたはずのチサトくんがまた暴れ出した。タフだな意外と!
「嫌ですお金取るやつでしょお金取るやつでしょ俺ここの生徒じゃないですしぃ」
「それが本音か! 健康診断は無料だから受けてきなさい!」
「嘘だぁ」
「人間ドックばりの健康診断してやるから来い。あとオメーは裏口から出ろ」
「それが無料はほんとに嘘だぁ!!」
「うっす」
ガシッとチサトくんの襟首が掴まれ、俺から引き離される。しっしっと払われる手に大人しく従って保健室を出ようとすると、
「……まぁ、本当に夜の健康診断してやっても良いけどな?」
「自分関連CPは地雷です!!!!!!!!!」
と大声。本当にスパイか? 耳がキーンとなるのを耐え忍び、保健室の扉を閉めた。
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