人生は恋愛バラエティみたいにはいかない

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みとさんはきょとんとする。キリオ君は今度はキッチンの前のスペースのタイルをごしごしとこすっていてこちらに背中を向けているのでその表情は見えない。 ああそういえば。とみとさんは思い出す。小学生の時に同級生に「お前ブスやな、そんなんじゃ一生彼氏も出来ひんな」とからかわれて泣いて帰った時に、お父さんが言ってくれたっけ。「そんな見る目のない男は放っとけ。お前は誰が何と言おうと世界で一番かわいい。」と。みとさんがうれしくなって「そうしたら、大人になったらお父さんのお嫁さんになる」と言ったらお父さんは本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべていた。 キリオ君は優しいな。 お母さんだけじゃなくてお父さんの役もできるくらい。
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