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台所で、いつも通り掃除にいそしんでいるキリオ君がシンク周りを拭きながら答える。
「そりゃ、こんなもん気の持ちようやろ。要はこいつらはな、別に相手が好きなんちゃうねん。相手を好きになって泣いたり笑ったりしてる自分が好きやねん。そんでそんな自分を視聴者に見せつけて、自己顕示欲を満たしてる訳やろ」
それを聞いて、みとさんは考え込んだ。
ほほう、なるほどなるほど。そういわれてみると、そんなこともあるのかな、と思えてくる。キリオ君は鋭いな。私には考えもつかんかった。やっぱりこういうところで恋愛経験の差が出るのかしら。でもその差が結局キリオ君のひねくれたものの見方に繋がっているのだとしたら、恋愛経験の豊富さが本人にとって幸せなことなのかどうかは大いに疑わしい。
「こいつは俺のことが好きなんじゃなくて、俺を好きな自分のことが好きなんやろう」なんて思っていたら、本当に相手を好きになることなんていつまでたってもできないんじゃないかしら。
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