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「行きたい!愁と一緒に!」
立ち並ぶ出店を、二人で並んで歩きながら巡って。
いっぱい買ったら花火を見て。そしてそこで花火を見ながら告白されて…。
そうなればいいなと思った。私の勘違いかもしれない。愁は私を友達としか思っていない可能性もある。
それでも、愁が夏祭りで一緒に過ごす相手として、私を選んでくれた。
もっと愁の傍にいたい。愁の傍に居られるのであれば、私はずっと愁の一番をキープしたいと思った。
「それじゃ、その日はバイト早番でよろしくね。
…本当は入れないでほしいけどね」
ここまで言われて、ふと思う。愁の気持ちはどこにあるのだろうか。他に好きな人はいないのだろうか。
もしかして、本当は彼女がいるんだけど、上手くいっていないとか。
そんなことはないと思う。見た目こそ遊んでいそうに見えるが、中身はとても真面目な好青年だ。
そんな彼が、遊びで私を誘うなんてことないと思う。
どうして、ここまで断言できるのだろうか。そう思い込みたいだけなのかもしれない。
それでも、一番肝心なことにはまだ気づけないままでいた。
そう。それは彼の本当の気持ちだ…。一番知りたいはずなのに、まだ知らない。
思い切って、私の方から告白してみるのもアリかもしれない。
だけれど、もし勘違いだったら…。気まずい雰囲気が流れ、下手したら今のアルバイト先を辞めないといけないかもしれない。
愁がいるからと続けてきたアルバイトだったが、なんだかんだ働く仲間も良く、すっかり居心地が良くなってしまっていた。
だからこそ、余計に告白して気まずい雰囲気だけにはなりたくなかった。
どうして、そんなに私に期待を持たせるようなことばかり言うの?今すぐにでも愁の気持ちを教えてほしかった。
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