336人が本棚に入れています
本棚に追加
ここまで言われて、勘違いしない女の方がおかしい。もうとっくに勘違いしてしまっている。
優しくされて、思わせぶりな態度まで取られて…。
これでもし、私のことを好きじゃなかった場合、私は何を信じたらいいのか分からなくなりそうだ。
ここに来るまでの勢いは、全て消えてしまった。
私は今日、愁に告白しようと思っていた。そうすれば、愁の思いを知ることができるから。
もし、仮にダメな結果であれば、前に進むことができる。
一方、仮に良い結果であれば、恋人として付き合うことができる。
そうしたいと思っていたのに…。マイナスなことばかり考えてしまう。
告白して、ダメになって、距離ができてしまうことが怖いんだ。
離れたくない。いつまでも愁とこうしていたい。傍にずっと居たいと思った。いつの間にか欲張りになっていたみたいだ。
「嬉しいよ。だって愁が褒めてくれたんだもん」
またやってしまった…。愁の言葉を聞く前に、自分で遮った。
「…ねぇ、愁。私、たこ焼きが食べたいな」
話を逸らした。もうそうするしか手段がなかった。
きっと愁は、私の気持ちに気づいているかもしれない。
それでも、私は恋愛経験が少ない。だから愁がどう想っているのかが分からない。
だから、気持ちを確かめることが怖いんだ。私はどこまで踏み込んだらいいのか、分からないから。
気持ちを聞くことで、この関係が壊れるくらいなら、今のままを望みたい。
でも、他の女に愁を奪られたくない。それならば今すぐに……。
もう無理だ。何を考えても、結局は逃げてしまう自分がいる。
どこか不思議だった。彼なら私の傍を離れていかない。きっと彼も私のことが好き…という、根拠のない自信があった。
でも、本当は不安で。嫉妬でおかしくなり、今すぐにでも叫び出したい気持ちだ。
最初のコメントを投稿しよう!