1章:ずっと一緒だと思っていた…

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夏祭り以降、距離が近くなり、お互いに遠慮することがなくなった。 彼の本当の気持ちを知ることは、まだ出来ず終いだが、彼に好かれていることだけは間違いないと思う。 愁は嫌いな相手とは、あまり関わりを持たないタイプだ。 それに一見、チャラそうに見えるが、実は一途で真面目だ。 私以上に愁に近しい存在なんていない。なんて呑気に構えていた。 でも、このまま告白しないなんてダメだ。なんとかして動き出さないと…。 自分の尻を自分で叩いたこともあった。その度にまだ覚悟が上手く持てず、ダメになることばかりを考えては、動き出せずにいた。 「幸奈、一緒に帰ろうぜ」 後ろから肩に腕を回され、抱きつかれた。ここ最近の愁は、やたらとスキンシップが激しい。 まるで、誰かに見せつけているかのように…。 「ちょっとまだ待って。帰り支度ができてないから」 慌てて荷物を整理し、帰り支度を済ませて、愁の元へと駆け寄った。 「お待たせ」 「おう。行くぞ」 毎回、愁と手を繋いで帰っている。 私はこの時間が好きだ。愁を独占できるから。 「幸奈はさ、好きな奴とかいないの?」 最近、愁からよく質問されるようになった。 いつもより踏み込んだ質問だった。この質問に私の気持ちは、今すぐにでも溢れ出してしまいそうになった。
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