1章:ずっと一緒だと思っていた…

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「いいのか?ありがとうな。 それじゃ、お言葉に甘えて、泊まらせて頂きます」 私以上に嬉しそうだった。それもそうか。夜道を一人で帰らされる方が、嫌に決まってる。 いくら男性とはいえども、最近の世の中は物騒だ。 そんな危険なところに、愁を放り出すなんてこと、できるわけがない。 一晩泊まるだけだというのに、はしゃぐ姿が愛おしく感じた。 こんなに好きなのに…。近くに居るのに…。 きっと私達の間に、一夜の過ちは起きない。だって、愁は私が嫌がることを絶対にしないから。 だからこそ、本当は手を出してほしい。私のこと、少しでも女性として意識してるってことを実感したいから。 どう考えても、女友達としか思われていないに違いない。 愁と友情なんて成立させたくない。私を早く愁の彼女にしてほしい。 もう何回考えたことだろうか。一緒に居る時間が長くなればなるほど、愁と離れてしまうことが怖い。 花火大会に一緒に行ったあの日…。勇気を出していれば、今頃何か変わっていたのかな? そしたら、この状況がお泊まり会ではなく、お泊りデートになっていたかもしれない。 そうなっていたらよかったのにな…なんて思った。 「それじゃ、そろそろ遅いし、寝よっか」 お客様用の布団を取り出して、寝室に運び、床に敷くために、押し入れから布団を取り出した。 その時、愁がさり気なく、「俺が運ぶ」と言い、代わりに布団を運んでくれた。 さり気ない優しさに胸がズキン…と痛んだ。深い意味がないことは、よく分かっているつもりだ。 それでも、女の子扱いしてくれたことが嬉しかった。 寝る準備も整ったので、「おやすみ」と言い、電気を消した。 暗くなった途端、沈黙が流れ始めた。気まずい。この空気に上手く耐えられるかな? 愁は寝ているかもしれないから、今は話しかけるのは止めておこうかな…なんて、思った矢先のことだった。
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