1章:ずっと一緒だと思っていた…

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「愁は私が好きだと嬉しい?」 ここで好きだよと、言えないのが私の心の弱さだった。 「俺さ、あの子に告白されたんだ」 話が上手く噛み合っていない。予感は的中した。そう聞かれた時点で、ある程度は想像していた。 愁から一番聞きたくない言葉だった。この時ばかりは、そんな自分を呪いたくなった。 「幸奈、俺、あの子と付き合おうと思う」 その場に崩れ落ちそうになった。もうこれ以上は聞きたくない…。 何て答えたらいいの?付き合わないでって言えばいいの? 「幸奈はどう思う…?」 どう思っているのかなんて、愁の気持ちを知った上で、私の気持ちを伝えられるはずがなかった。 本当は私にどうしてほしいのかなんて分かっていた。 それでも今は、こう答えることしかできなかった。 「さっき言ってなかったっけ?その子と付き合うことにしたって…」 愁は表情で訴えかけてきた。俺があの子と付き合ってもいいのかと…。 私にはそれを咎める権利などない。愁の彼女ではないから。 そんな顔をするくらいなら、あの子と付き合うなんて言わないでほしかった。 「そう…だよな。ごめんな、変なこと聞いちまって 」 この時、私は愁のことがよく分かっていなかったのだと、後で思い知ることになる。 しかし、まだそのことに気づいていない私は、胸に苦しい想いを抱えたまま、突然の変化に戸惑いを隠しきれなかった。 当たり前なんて永遠に存在しない。特に恋愛は突然、予期せぬ変化が訪れる。 その変化の先に、穏やかな日常があるのかもしれない。 それが分かるのは、まだ少し先のお話…。
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