1章:ずっと一緒だと思っていた…

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「別にいいよ。次はもうしないでね」 本当は手を繋ぎたい。強引に私の手を奪って、今すぐ彼女と別れてよ…。 でも、きっとそんな願いは届くはずもなくて。私の心の中だけの秘密にしておくことにした。 「もうしねーよ。彼女のこと大切だし」 大切…か。その言葉がほろ苦く心の中に大きく広がっていった。 「そっか、大切なんだね。羨ましいな、彼女さんが…」 いい加減、私の想いに気づいてよ…。 もうフラれたも同然なくせに、懲りずにまだ好きでいる自分が、心底嫌いだ。 「さては幸奈、もしかして、彼氏が欲しいのか?」 彼氏なんて要らない。私は愁が欲しい。 「うーん、今はまだいいかな」 できることなら、あんな女なんかに愁を渡したくなかった。 もしまだ可能性があるのなら、今すぐにでも愁を奪い、私のモノにしたい。 「なんだよそれ…。でも、今はまだ幸奈に彼氏ができないでほしいな」 どうして、そんなことを言うの?今の私に期待を持たせるような言葉なんて言わないでよ。 神様はどうして、こんな意地悪をするのだろうか。私が何回もチャンスを棒に振ったから? 「何それ。意味深なんですけど」 「別に深い意味なんてないよ。もし、幸奈に彼氏ができたとしたら、こうして一緒に帰ることもできなくなるから、それはそれで寂しいなと思って」 こうして、一緒に帰れなくなるのは、勿論、私だって寂しい。 私だって、愁との繋がりがなくなるのは嫌だ。絶対にこの繋がりを失いたくない。
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