番外編:中山くんと私〜幸奈side〜

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誰よりも私達のことを考えてくれていた、そんな中山くんだからこそ、感謝の気持ちを伝えたかった。 あと、純粋に中山くんと仲良くなりたいと思ったからである。 「そう思ってくれてありがとう。俺も大平さんと色々お話してみたいと思ってたから、お話できて嬉しいよ」 積もる話がたくさんある。愁に関しての話だけではなく、アルバイト中に起きた出来事や思い出…など、他愛のない話をたくさん中山くんとしてみたい。 今まで話せたかった分を取り返したい。彼とお友達になりたいから。 「本当?そう言ってもらえて、私も嬉しい」 きっとお互いに意識的に遠慮していたところがあった。 中山くんも中山くんなりに私に気を使い、私も私で中山くんに気を使っていた。 愁のことになると、二人して遠慮してしまう。もしかしたら、私達は似た者同士なのかもしれない。 どこか自分に自信がなくて、人の目ばかり気にしてしまう、臆病な性格なところがよく似ていると思う。 「今まで避けてきてごめんなさい」 謝罪したからといって、過去の過ちを取り消せるわけではない。 それでも、彼には謝罪と感謝の気持ちを伝えたかった。 「さっきも言ったでしょ。大平さんが謝る必要はないってさ。 俺があの日、余計な一言を言わなければ、大平さんも愁も苦しむ必要はなかったと思う。 だから、俺も良かれと思ってやった行動が裏目に出てしまったから、ごめんなさい」
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