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大平さんの時とは違う。あれは二人があまりにも不器用すぎて見ていられず、つい手を焼いてしまった。
どうして、そう思ったのだろうか。やっぱりまだ心の中のどこかで罪悪感を感じているのかもしれない。
俺が余計な一言を言わなければ、彼女が傷つく必要はなかった。
俺は大平さんと愁のことしか考えていなかった。二人が上手くいくことで、傷つく人がいることを忘れていた。
罪悪感から彼女のことを守りたいという気持ちが芽生えたのだとしたら、彼女に対してあまりにも失礼である。
それでも、俺は彼女のことを守りたいと思ってしまった。
「俺でよければ、いくらでも頼ってくれて構わないから」
彼女は安心した顔をしていた。きっと誰かに胸の内を話したかったのかもしれない。
しかし、肝心の話し相手がいなかったため、ようやく話し相手が見つかったといった感じであろう。
「是非、よろしくお願いします」
こうして俺は、愁の元カノと奇妙な関係を築くことになったのであった。
◇
今まで彼女がいたことくらいはある。
愁と比べるとそこまでではないが、それなりにモテてきた。
第一印象は優しいという好印象から始まり、次第に印象は悪くなっていき、最終的には何を考えているのか分からないや、優しすぎるからつまらない…などといった理由でフラれてしまう。
正直、俺は自分でも自分のことをつまらないと思っていたので、彼女達の意見には同意だ。
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