2章:一番になりたい

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「そっか。分かった。それじゃ、帰ろっか」 友達だから、遠慮しているのが伝わってきた。私もそれが愁なりの線引きだと感じ、もうこれ以上、愁には甘えないことにした。 本当は今すぐにでも甘えてしまいたい。もう強がることに疲れた。 それでも私の脳裏には、優しく微笑む彼女の顔が思い浮かんだ。 その度に申し訳ない気持ちになり、甘えることができなかった。 そんなに申し訳なく思うのであれば、いっそのこと、傍にいることさえも止めてしまえばいいのに…。 「うん、そうしよっか」 一瞬、バイトを辞めることも考えてみた。 でも今、接点がなくなってしまえば、私と愁を繋ぐものは何もなくなってしまう。 最悪、アルバイトを辞めてしまったとしても、大学は同じだ。 それでも、その糸が簡単に千切れてしまうような気がした。 愁を好きでいることが辛い。好きでいることを止めたい。 簡単に繋がりが消えてしまえばいいのに。そうすれば諦めがつくのに…。 そう望んでも、まだ繋がりを手放すことはできなかった。 この日も愁は本当に家まで送ってくれた。このまま、帰らせずに私が愁を奪ってしまえば…。 そんな勇気は持てず、そのまま解散した。 未練がましいにも程がある。そろそろ諦めないと、ストーカーと同じだ。 いい加減、愁を好きでいるのを、もう止めようと思う。 愁を好きになってから、友達に合コンに誘われても、全部断ってきた。 いい加減断るのも心苦しいし、それに諦めるいいきっかけにもなる。 もし、次に誘われたら行くことにしよう。そう決意した。
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