1章:ずっと一緒だと思っていた…

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気がついたら、アルバイトを始めて数ヶ月が経過…。 もうすぐ夏休みがやってくる…。私の夏休みは、アルバイト三昧だ。 何故なら、少し前に彼のシフト表を覗き見した時、彼はたくさんシフトを入れていたので、私も彼と同様、たくさんシフトを入れた。 もちろん、お金もちゃんと稼ぎたい。でも、それ以上に、私は彼の傍に居たいという気持ちの方が大きかった。 まだ彼のことをよく知らないので、もっと彼のことを知りたい。 私と彼を繋ぐものは、バイト先以外特にない。本当はバイトの日以外にも会ってみたい。 でも、まだそこまでの仲ではないような気がして。なかなか一歩踏み出す勇気を持てずにいた。 だから、いつまで経っても、バイト仲間という枠から、はみ出せずにいる。 せめて連絡先だけでも…と思った。この夏休み中のアルバイトで、私は彼との距離を詰めようと計画している。 連絡先をゲットし、いつか二人で休みの日に遊びに行く…。これが私の狙いだ。 不純な動機でもいい。私はアルバイトに行きたい。 彼との繋がりを持てるのであれば、その細い糸が千切れないように、しっかりと掴みたいから。            ◇ 夏休みに入り、数週間が経過した。特に進展することもないまま、アルバイト三昧な日々を過ごしている。 最初のうちはこんなに働くのかと、嫌気が差しそうになりかけたが、好きな人が一緒に働いていると思うと、やる気が出た。 事前にシフト票で確認済みなので、一緒に働く日が多い。 もちろん、それだけではない。夏休み中なため、いつもよりも働く時間が長くなるというのもポイントが高かった。 接点が増えるということは、その分チャンスも増える。 チャンスをものにしたいと願っていた矢先に、一緒に休憩時間を過ごすことができた。 二人でたくさん話をすることができたので、距離もより近くなったような気がした。 すると彼の方から、 「連絡先を教えてほしい」 …と言ってくれた。思ってもみないチャンスが巡ってきた。 私はすぐに、「いいよ」と返事をした。無事に彼の連絡先をゲットすることができた。 今流行りのメッセージアプリで交換をした。 彼が友達追加されることが、あまりにも嬉しすぎて、思わずスマホを抱きしめてしまった。
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