1章:ずっと一緒だと思っていた…

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「ありがとう、嬉しい」 …なんて素直に想いを伝えてしまった。これでは好きだということが丸分かりだ。それでも彼は微笑んでくれた。 そんな私に手を差し出し、そっと頭を撫でてくれた。その手の熱が身体中を巡り、私の顔はゆでダコ状態になった。 「そんなに顔を真っ赤にされると、俺も照れる…」 彼の顔も赤くなり、こういう時、どんな反応をしたら正解なのか、恋愛経験値が低い私には分からなかった。 今にして思えば、この時から二人の恋は動き始めていたのかもしれない。 私がもっと素直に想いを伝えていたら、今頃何か変わっていたのかもしれない。 ふとあの頃が懐かしくもなり、羨ましくもなった。 未来のことなど分からない私は、こんな思いもよらないチャンスが訪れ、見事作戦を成功させたのであった…。            ◇ 「大平さん、こんな時間まで働かせちゃって、本当にごめんね。女の子だから、帰り道が心配だな」 すっかり連絡先を交換したことで頭がいっぱいになり、完全に浮かれてしまった。 気づけば夜も深い時間で…。いつもなら、遅くなりそうなタイミングで、店長が気を利かせて、早く帰らせてくれる。 変質者などがいたりするため、夜道は危険で。特に女の子は狙われやすい。 事件へと発展しないためにも、女性陣は早く帰らせてもらえる。 それに年齢的にもまだ未成年だ。未成年な手前もあってのことなのであろう。 そんな店長が、いつもより早く帰らせてくれなかったということは、今回ばかりは上手く人を回せるほど、余裕がなかったということになる。 長引かせてしまったことを、店長は申し訳なさそうにしていた。 私としては仕方のないことだと思っていたが、ここで店長自らまさかの提案をしてくるのであった…。
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