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バケツに移した魚と一緒に海へ着いたわたしは、
「さよなら、久須木さん」
と別れの挨拶をすませ、魚を海へ還した。
久須木さんは、魚になることで幸不幸の鎖から解き放たれると言っていた。
それはとても幸せなことなのかもしれないな、とわたしは思った。
わたしは明日からも人間として生きる。幸不幸の鎖に縛られたまま。
とりあえずあの部屋に残った久須木さんのウロコを持ち帰って、フリマアプリで売ろうと思う。
わたしは、リアリストだから。
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