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「大丈夫。神藤くんは神のご加護があるから、きっと一度は死ぬかもしれないけれど、すぐに生き返れるから。もし、だめでも教祖様にお願いして、なんとかしてもらうから安心して」
教祖様も一度、神に呼び出されて死んだことがあるそうだ。その際に、神託を得てから復活を遂げた身なのだと言っていた。神様とも知り合いであれば、神藤くんも子孫として助けて貰えるはずだった。
僕の両親は団体の中でも幹部クラスだし、僕も二世で両親と共に活動している。だからお願いしたら、きっと聞き入れてくれるはずだ。
僕は神藤くんに距離を詰めると、その肩を思いっきり両手で押しやった。
神藤くんは目を大きく見開き、両腕を回して後ろへと倒れていく。
ドン、と音がして、僕は下を覗き込んだ。
さっきよりも濃くなった闇が校庭を覆い、神藤くんの姿は見えない。
神藤くんは神様の所へ向かったのだ。だから、今度こそ救ってくれるはず。
僕は目を閉じて、空に向かって祈りを捧げた。
――お願いです、神様。神藤くんをお救いください。
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