救いの信仰

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 鞄のお守りが一個なくなった。  僕の歳の数――全部で十五個あるはずのスクール鞄につけていたお守りのうち、赤い生地のものがなくなっていた。  朱色に染まった教室で、僕は一人で行方を探す。半ば泣きそうになりながら、ゴミ箱をひっくり返して中身をあさった。お菓子のゴミくず、何を拭ったか分からないティッシュ、テストの答案用紙。  ここではないのだと諦めて、僕はゴミ箱に戻していく。せめて、教科書とかノートにしてくれれば良いのにと僕は思った。  だけどそれを伝えるのは、逆効果だということはさすがの僕でも分かる。それに彼らがやったと認めるとも限らない。逆上されて、もっと酷い目に遭わされるかもしれないと思えた。  教室は一通り探し終えた僕は、ゴミ捨て場に行こうと鞄を手に取る。  廊下に出ようとしたところで、危うく誰かとぶつかりそうになった。 「ご、ごめん」  僕は慌てて後ろに飛び退く。  何故か別のクラスの神藤くんの姿があった。いつもの取り巻きはいないようで、一人のようだ。 「お守り探してんだろ」  神藤くんが淡々とした口調で言った。  僕は驚いて神藤くんの顔をまじまじと見た。僕に話しかけて来たことに対する二重の驚きもある。 「な、なんで分かるの?」  神藤くんの酷薄そうな目が僕をじっと捉え、少しだけ口角を上げた。
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