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「お前、マジ頭おかしい。気持ちわりぃんだよ」
今度は僕の横腹に激痛が走る。何度も何度も神藤くんの蹴りが、僕にぶつけられる。
痛みで鼻水と涙を流しながら僕は、必死で祈りを口にする。
――どうか神様、神藤くんをお救いください。
けれども、どんなに祈りを捧げても、神藤くんは悪魔に取り憑かれたままで、僕を蹴り続けている。
神様が助けてくれないなら、僕が神藤くんを助けるしかない。僕の中で、今までに感じたことのない強い感情が込み上げる。
僕は渾身の力を振り絞り、身体を横に転がした。神藤くんの蹴りが空振りし、僕はよろよろと立ち上がる。
神藤くんは荒い息使いで、こちらを睨み付けていた。
「大丈夫だよ。神藤くん。今度は僕が助けてあげる」
一歩一歩と僕は足を踏み出し、神藤くんに近づく。
「キモいんだよ! くんじゃねぇ」
そう言って、神藤くんは後ろによろめくように下がる。
「教祖様が言ってたんだ。悪魔に一度取り憑かれた人間は、死ななくちゃ魂を浄化できないんだって」
神藤くんは悪態を吐きながらも、その顔には恐怖が滲んでいた。
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