救いの信仰

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「ついてこいよ」  そう言って、神藤くんはすぐさま廊下に出てしまう。何の為にこの教室に来たのか分からないまま、僕は神藤くんを追いかける。  色々と気になることはあった。それでも、神藤くんの機嫌を損ねて、お守りが見つからないのも困る。だから僕はあえて、黙って神藤くんの後に続く。  長い廊下を抜け、下駄箱でスニーカーに履き替えて外に出る。校庭の一角にある桜並木まで来ると、そこで神藤くんは立ち止まり上を見た。  それにつられて僕も見上げると、すでに青葉の生い茂る枝先に赤いお守りがぶら下がっていた。  僕は急いで、近くの枝を拾うとお守りを落とそうと試みる。 「かしてみろ」  そう言って、神藤くんが僕から枝を奪い取る。やや背伸びするように腕を伸ばすと、僕より五センチ以上高いであろう身長が、さらに伸び上がった。 「ほらよ」  上手い具合に枝に引っかけたお守りを、神藤くんは僕に渡した。 「ありがとう」  僕は礼を言ってから、急いでスクール鞄につけた。十五個全て揃い、僕はこれで母さんに怒られないと安堵した。 「なんでそんなに、お守りをつけてるんだ」  神藤くんの問いに、僕は「歳の数だけつけていれば、厄を払って幸運を招くみたいだよ」と答えた。
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