4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ついてこいよ」
そう言って、神藤くんはすぐさま廊下に出てしまう。何の為にこの教室に来たのか分からないまま、僕は神藤くんを追いかける。
色々と気になることはあった。それでも、神藤くんの機嫌を損ねて、お守りが見つからないのも困る。だから僕はあえて、黙って神藤くんの後に続く。
長い廊下を抜け、下駄箱でスニーカーに履き替えて外に出る。校庭の一角にある桜並木まで来ると、そこで神藤くんは立ち止まり上を見た。
それにつられて僕も見上げると、すでに青葉の生い茂る枝先に赤いお守りがぶら下がっていた。
僕は急いで、近くの枝を拾うとお守りを落とそうと試みる。
「かしてみろ」
そう言って、神藤くんが僕から枝を奪い取る。やや背伸びするように腕を伸ばすと、僕より五センチ以上高いであろう身長が、さらに伸び上がった。
「ほらよ」
上手い具合に枝に引っかけたお守りを、神藤くんは僕に渡した。
「ありがとう」
僕は礼を言ってから、急いでスクール鞄につけた。十五個全て揃い、僕はこれで母さんに怒られないと安堵した。
「なんでそんなに、お守りをつけてるんだ」
神藤くんの問いに、僕は「歳の数だけつけていれば、厄を払って幸運を招くみたいだよ」と答えた。
最初のコメントを投稿しよう!