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天地妄創 ~天女が綴る異世界奇譚~
武石雄由 様作
【あらすじ】
船が活発に多くの島の間を行き交う世界で暮らす主人公は、好奇心旺盛な海運業者の娘。ある日、主人公の乗り込んだ船が、この世界に憧れてやってきた、異世界人の女性を救うことに。なんと彼女は天から落っこちてきたのだ。やがて意気投合した二人は巨大な陰謀に巻き込まれ、世界創造の仕組みまで目の当たりにすることになったのだった。
書き出し一行はこちら
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どこまでも澄み渡る青い空に、彩りを添えるかのように幾筋かの白い雲が走っている。
(引用)
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まず、タイトルを見て思う事は、創造ではなく妄創ということ。つまり、妄想で作っちゃうんだぜ!という意意味合いなのだろうか、と思わせる。妄想という事は、自由度の高さで言うならばランクは高い。と、なるとこの物語はかなり自由な発想で作られていると言っても過言ではないだろう。そして、その世界を作るのは、どうやら天女らしいということが分かる。
あらすじから想像するに、交易や貿易がとても盛んであり、活発な、人々の活気に溢れた世界が舞台となっている。主人公が海運業者とあることからも、海、空、太陽など非常に明るい世界をイメージする。カモメが飛び、イルカも飛ぶ。きっと元気な声が飛び交い、市場なんかも活気に満ちていることだろう。そんな世界に憧れて空から落ちてきた女性が居た。憧れるのも無理がない世界だ。これは心理に置いてとてもリアリティがある。わたしも、こんな世界なら憧れてしまうだろうと、納得できるからだ。
主人公は好奇心が旺盛な女の子。空から落ちてくるほどの行動力がある女性となら、意気投合しても、なんらおかしくはない。そんな二人が陰謀に巻き込まれてしまう。これだけでも充分面白そうな印象ではあるが、もう少し掘り下げてみる。その陰謀がどんなものなのか、ということ。
この物語は天地を作る物語。したがって、自分の思い通りにしたいと考えた人に利用されるのではないだろうか、という予想が出来る。こんな二人を利用しようとするのだから、きっと個性的な人物に違いない。
では、書き出し一行目に触れてみたい。ここで興味を惹くのが”青・彩・白”である。きっちりとした情景描写から入る物語は、ファンタジーなど世界観を伝えるジャンルにマッチしている。しかも、この物語は、あらすじからとても活気あふれる世界なのだという期待があり、それを満たすかのように、色彩を添え、読み手にあたかも目の前にその世界が広がったているかのように、細かい描写で再現しようとしている。
この一文だけえを見ても、作者は”脳裏に浮かぶ世界”を再現することに力を入れているという事が伺えるのだ。さあ、ページを開いて彼女たちと冒険してみませんか?
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