僕の愛する君へ

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 友達は猫アレルギーだった。  僕の借りていたアパートはペット可の物件だった。  犬派の僕は、いつかお金を貯めて室内犬を飼うつもりでいた。子供の頃から犬を飼うのが夢だった。  保護犬を引き取るにしても、狂犬病の注射や予防接種、病気になったらお金もかかる。  大学時代にバイトで貯めたお金は、引っ越しでほとんど残っていなかった。    クリスマスに産まれた子猫は四ヶ月を過ぎて、普通の餌を食べれるようになっていた。  四月に入って間もないこの時期、朝晩はまだ寒い日が多い。兄弟には飼い主が決まり、親猫がいなくなってしまったのだ。  僕はこの仔猫を放って置くことが出来なかった。  管理会社に確認すると、犬か猫どちらか一匹迄、敷金を1ヶ月分追加で納めれば良いとの事だった。  僕は追加の敷金を振り込み、管理会社から送られて来たペットに関する契約書に記入した。
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