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僕は、友達がいなくても平気だった。
引っ越してきたばかりだし、
小学校からの友達が居ないんだし、仕方がないと思っていた。
数十分の休み時間は本があれば一瞬だったし、別に誰も僕を無視したりはしない。
それは楽で、自由で、有意義だった――はずなのに。
避けていたその世界が、どうしたって色鮮やかに輝いて見えてしまって。目が、そらせなくて。
僕は知っていた。色んな物語を読めば読むほどに、たぶん、これこそが"学校に来る意味"なのだろうと。
そうして僕は思い出した。こんな風に、なんて事ないことを気軽に話せる友達が、喉から手が出るほどに欲しかったんだって。
ふと真島を見ると、彼は周りがうわぁっと騒ぐ度に固まって、本をめくる手が止まっていた。視線も止まっている。気になってる。もしかしたら、僕と、同じじゃないかと思う。
真島はしばらく考え込んだ後、口を真一文字に結び真剣な表情で何かを書き始めた。
その手元を見た僕は、思わず息を飲んで、それをじっと見つめていた。
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