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早川といつも一緒にいる親友の木城は、校庭をウロウロしていた。そんなとこにはいない。屋上の入り口の手前だ、と言いたかったけど、声が出なかった。
木城は呟いた。
「はぁ、ほんとに、何やってんだろ。速水の件は別に早川のせいじゃねぇじゃん。大体さ、早川は予言だとか言ってっけど、教室で浮いてる奴に堂々と声掛けて仲間に入れようとしてるだけで、何が預言者だよ。ただの八方美人じゃん。バッカじゃねぇの」
「言い過ぎだよ、木城くん。早川くんは木城くんと仲良しだと思ってるんだからさぁ」
「つーか、俺らがいるだけじゃ物足りないっつうのかよ?なぁ、美優?」
「うーん、たぶん早川くんはみんなと仲良くしたいだけなんだよ。美優は木城くんだけいればいいけどなぁ」
そう言うと、二人は見つめ合い、ごく自然な流れでキスをした。
「ふふっ。……あ、それと。速水くんの件は、私も後押ししちゃったからちょっと罪悪感あるんだよねぇ」
「美優が罪悪感を感じる必要はねぇよ。
勝手にあいつが食べて、勝手にあいつが走ったんだから」
それは僕の台詞だから、お前が言うなと思った。
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