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「あらら、うっわー兄貴すごいね。まさか軽く撫でただけでイクとは。え、もしかしてずっと我慢してたの? 俺に喰われてそんなに興奮したんだ」
「ち、がっ……ぅ」
「なぁにー? 聞こえないよ兄貴」
「やだって、俺……だか、止めって言った、のに。ヒック、うっ……うううっ」
「え、嘘。ちょっガチ泣き!? ご、ごめんね兄貴、おお俺が悪かったから。だっだから本当、頼むから泣き止んでぇ!」
いや無理、これもう全然無理。
恥ずかしさと情けなさで一杯になり、我慢できずボロボロと涙が溢れだす。
ひっくひっくとしゃくりあげる兄の姿を見て、何故か急に慌てふためく弟。
ああ、確かこいつ昔から俺の本気の涙に弱いんだっけ。それなら人をおちょくるのを止めれば良いのに、矛盾し過ぎで何を考えてるのかさっぱりだ。
だいたい、今更オロオロしたり猫なで声で謝られても遅いんだよ。
お前の頼みなんて知るか、馬鹿。
「ヒック、俺、嫌って……触、ないでって」
「ごご、ごめん! そうだよね、兄貴は触って欲しくなかったんだよね。俺が無理やりしたから嫌だったんだよね?」
「ううっ……今日、お前……喰った……俺の、変……から、ヒック」
「うんうん。俺が喰い過ぎちゃったせいで、兄貴の身体も少ーし過敏になり過ぎたかな。でもほんのちょこっと普段より気持ち良くなり易いだけだから。多分その、しばらくすればまた元に戻ると思うし」
「ヒック……だって、空……キ……俺、おかしい……撫でた、だけっ」
「あああ、違うから! 兄貴は全然おかしくないし悪いのは全部俺だから、ね? だっ大丈夫、さっきみたいなことはなるべくもうしないから。ごめんね、ごめんなさい兄貴……だからお願い」
あ、嫌な予感。
だがしかし、涙で対・弟用監視機能が低下(つまり目がよく見えていなかった)中の俺は逃げ遅れ――。
「ほらもう泣き止んでよ、ね」
「ぅひいいっ!? そ、それダメ、ダメぇっ離し……ぃ、いやぁあアアーッ!」
「え。兄貴……な、凪?」
当惑する弟の腕の中で、身体をびくびくと痙攣させている俺、凪(なぎ)。
やがて弟・航(わたる)は自分の失態に気付き青ざめた。
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