日本帝国恋愛譚

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私、海崎 ミフミ には今日、とても楽しみにしていることがある。私は心を躍らせながらダイニングに行った。すると母と姉がとびっきりのお洒落をしていた。さっき窓の外に見えた女性の様な格好だった。 「母さん、姉さん、何処かへお出かけ?」 「ええ。トーキーを観に行こうかと思って。」 「ミフミ、貴方も行きますか?」 どうやら二人は最近巷で有名な有声映画を観に行くらしい。私はまだ観に行った事がなく、いつかは行ってみたいと思っていた。しかし、今日、私には何よりも優先すべき事がある。 「せっかくのお誘いですが、今日は先約がございまして。」 「あら、残念。ではまた今度一緒に行きましょう。」 姉はそう、笑顔で言った。 「ええ、是非。では、お気をつけていってらっしゃいませ。」 「貴方もね。では、行ってきます。」 母のその言葉に続いて、姉も、「行ってきます。」と言い、二人は馬車で出かけて行った。  
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