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「えー、絵馬ネーム、神。」
何事もなかったようにタケシは絵馬を読みだした。
「神さんの願い事。『神の名を語りお金儲けをする者を罰してください』だって。」
俺はとっさにタケシを見た。
「え?」
直後、タケシも俺を見た。
「え?」
俺はその絵馬をタケシからひったくって、あらためてその文章を見た。
しっかりした人格者が書いたのだとわかるキレイな文字だった。
「何これ。タケシ、おめえ、バレてんじゃないの?賽銭泥棒やってんの!」
タケシは驚いて顔を歪めた。単純に驚いた顔じゃない。
やましい気持ちが感情の一部を重くした歪んだ驚きの顔だ。
「ささ、賽銭泥棒とは、失敬な!たたた、ただ、木箱置いておいたら誰かがお金を勝手に入れていくんだ!」
「いや、絵馬置いたり、意図的に神社に見せようとしてんじゃん。」
「いや、これは・・カマボコ板だよ。」
「はぁ?」
『板』と言えば『かまぼこ板』。幼稚園児か。
アラフィフが言う嘘か、これが。
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