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命の危機は感じたけれど、警察を呼ぶのはタケシに悪い。
ま、天罰も受けてるし。
タケシが起きて、何かあったらその時はその時だ、と不思議と俺はタケシに憎しみを抱いてはいなかった。
物置の前にミカン箱がひとつ。
そいつを支えに地面に座った。
口寂しさを感じ、ポケットを探った。
フリスクを見つけた。
そいつを何度か振って、出た分全部を口に放り込んでバリバリ噛んだ。
そうしてボーッと色を変える夕焼けを眺めた。
天罰を受けたタケシがなんだか気の毒だ。
罪の大きさと天罰の比率が合ってないような。
あ、俺がお願いしたからか。
「俺は無意識にタケシを馬鹿にしてたのかなぁ。」
タケシは馬鹿だったけど、そういう馬鹿を救うのが神様なんじゃないか、いや、それは責任転嫁だな。
神様は裁くのが役目。じゃあ俺の役目は?
タケシのために俺にできることは。
天罰を願ったその直後にこんなことを考える自分の調子の良さに少し笑えた。
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