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「俺ん家の庭って思い浮かべれる?」
何の話だ。
告白の始まりがミステリアスなのは、ジュディ・オングの「魅せられて」だけで十分なんよ。
「おー。えーと、大通りと庭を隔てるように木の塀があって、防犯の玉砂利引いて、なんか小さいお社みたいな物置があって、割と公園みたいに広かったよね。」
「そう。お社みたいなのがあって広いんよ。」
「で、何が言いたいの?」
タケシは少し前のめりになり、小声だが興奮を抑えきれない様子で話し出した。
「この前、木箱に入ったミカンをもらったんよ。」
「へえ、木箱入り?特別美味しいミカン?」
タケシは激しく頭を振った。
「ミカンはどうでもいいんだよ。」
え?こいつの話術どうなってんだ?
キンコンの西野にでもトークメソッド教えてもらってこいよ。
「問題は木箱なんだよ。」
じゃあ、そう言えよ。
ミスリードが多すぎてどんな打者もフォアボールだよ。
「その木箱をなんとなく、その庭の物置の前に置いてみたんよ。」
「ほお。」
「そしたら、次の日、その木箱の中にお金が入ってたんよ!」
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