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「え、お金?」
「そう!お金!マネー!どうやら、物置とミカンの木箱が、神社と賽銭箱に見えたらしいんよ。」
そんな馬鹿な!鳥居は?手水舎は?鈴は?神社の「じ」の字ぐらいしかないじゃん!
「だからよ、とりあえず、物置の入り口のところに大きな鈴をぶら下げてよ、ミカン箱には格子のふたを作ってよ。そしたら、ジャンジャカお賽銭が入りやがる。」
え?いくらなんでもヒトんちの庭だぞ。
神社と間違えるなんてありえんだろ。
だいたい大通りとタケシんちの庭の境には木の塀があって、と、そこまで考えて気が付いた。
「いや、他人がタケシんちの庭に勝手に入るのは無理だろう。だって、木の塀があるだろう。」
「ああ、木の塀ね。」
タケシは俺が捨てたストローの入ってた紙の筒のシワを伸ばしながら答えた。
「仕事がなさすぎてムシャクシャして壊した。」
どういうことだよ!
自分ちだからいいのか?
ムシャクシャした理由って仕事がないからだろう?
社会との隔絶がストレスとなって暴れたのに、より社会と繋がるってどういう道理なんだよ。
「で、ここからが今日、福田を呼んだ理由だ。」
ああ、やっと本題か。
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