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「えー、まずは最初のお便り。」
ラジオパーソナリティ気分やないか。
「絵馬ネーム、おさむ君。」
「ちょ、待て。なんだ、その絵馬ネームって。」
「いや、ここに名前書いてあるから。」
「え?今、何か収録してんの?ラジオかなんか配信してんの?」
俺はキョロキョロとあたりを見廻した。
「いや、別に。気分出そうかなって思って。」
気分?なに気分?いい旅夢気分?
いや、俺、ラジオ収録の気分なんて、全然いらないし。
もし俺がそれを求めているとタケシが感じていたなら、それはそれで勘違いさせたことを全力で詫びるし。
「もう一回、最初から読むな。絵馬ネーム、おさむ君からの願い事です。『投げたら帰ってきますように。』」
「なにが!?」
俺は間髪入れずツッコンだ。
「いや、そう書いてあるから。」
「うそん!前後になんかあるんだろ?」
俺はタケシから絵馬をひったくると、裏表、隅から隅まで凝視した。
しかし、タケシが読んだことだけしか書いていなかった。
「え?これだけ?」
「な、おもしろいだろ。」
タケシがパッとした笑顔で俺に同意を求めてきた。
気持ち悪い笑顔だなと思いながら、一方でタケシがこんなに明るく笑ったのを見たのはいつぶりだろう、と考えていた。
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