226人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
26.眞比呂
路地裏で果てたふらふらの里村をそれ以上襲うわけにもいかず、結局またタクシーで送り届けたわけだけど…
これじゃ逆じゃなーい?
俺が襲ってどうするよ。
俺は襲われたいの(笑)!
しっかりしてくれ、若者。こうなったらおじさん頑張ってエッチなパンツ履こうかな(違う)。
要するに向こうがそういう気分になりやすくて、堂々とそういうことができる場所に誘えばいいわけだ。
簡単♪
ラブホじゃん?
いや待て、もうすぐクリスマスだよ。
エグゼクティブでゴージャスでラグジュアリーなホテルでも取れば、否が応でもそういうことになりやすい!
どうしてこんな簡単なことを思いつかなかったかなぁ、俺ってば。
と、携帯でいろいろ探してみるものの、来週にクリスマスを控えてどこも満室。
今年はおうちクリスマスが主流じゃないのか?
が、予約が取れないんじゃどうしようもない。
こうなれば奥の手だ。
トゥルルル…トゥ……プツ。
「もしもし、名波です」
「…ぉ……ぉつかれさまです……」
え、まだそんな感じ(笑)?そろそろ立ち直ってよ。
「今日はごめん、大丈夫?……えっと、来週の予定なんだけど」
「は、はい、来週ですか」
「日曜日、空いてる?」
空いてませんって言ったらぶっ飛ばすけどね。
「日曜日って……クリスマス、ですよね」
「そうだね。イヴだね」
「夜は……空いてます」
…夜は?
昼はどうした?
「……じゃあ夜、食事でもどう?」
「よっ、よっ、喜んで!」
「ついでに、月曜日の着替えも持って来て」
「……えっ……」
「泊まりね。まあ、クリスマスだからってたいした料理は作れないけど」
「……っあの……それって…」
「うん。俺の家」
「○□◇※🖤◎△※っっ!!!」
何を言ってるかわかりません(笑)
ずびっ、ずびっ、と、電話の向こうから漏れ聞こえる喜びのむせび泣きが汚い。
「ありがとうございます……感動です、クリスマスに名波先生のお宅にご招待いただけるなんて……」
「そんな仰々しい…あ、そうだ、飲み物買ってきてくれる?シャンパンとか、適当に」
「わかりました!適当に!」
適当、という言葉の使い方それで合ってる?(笑)
とりあえず場所はこれでOKと。
あとはプレゼントだなあ…
仕方ない、あいつに聞くか。
俺はもう一度携帯を取り出した。
「あ、もしもーし、俺。今ちょっといい?」
最初のコメントを投稿しよう!