幸せを願って

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「何か気に入った作品あった?」 冬馬さんに聞かれた私は 「はい、です」と即答した。 「そう…俺は読んだ事ないなぁ~、今度読んでみるね」 「はい、冬馬さんの感想も聞きたいです」 それから数日後、雪が降り始めあのベンチにも雪が積もり、座る事は出来なくなった。 私は紗織さんから冬馬さんとの話しを聞いたり、気に入った作品の事を伝えてもらったり。 そして暫くの間は時間になると外を見て紗織さんを迎えに来る冬馬さんに手を振っていた。 「あの作品の感想、まだ聞いてなかったな」 それから少しして私はベッドに寝たきりになり、冬馬さんに手を振る事も出来なくなっていた。 「紗織さん、あのね…私ね…神様にお願いしてるの…」 「何を?」 「どうか紗織さんと冬馬さんが世界一幸せになれます様にって…二人の事大好きだから」 ◆◇◆◇◆◇ それが、紗織が聞いた鈴の最期の言葉だった…。
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