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2節
朝食が済み、3人はそれぞれの仕事をする。
「なになに、『道路に出る女性霊』『13階段』に『化け猫』?
あぁ、どれもこれも胡散臭いなぁ。
これホントに全部調査しに行かないといけねぇの?」
仁が賢人に渡されたレポート用紙をヒラヒラさせて文句を言う。
「それがお前の仕事なんだ。 今更文句言うな」
仁の仕事である「コマ」は先程も言ったように
現地に行くため、実際に怪異と対面する可能性が高い仕事。
故に死亡率が必然的に高く、他の隊員からは陰で
「捨てゴマ」と揶揄され、敬遠される役職なのだ。
「本当なら私も一緒に手伝いたいが、生憎私は
お前の送ってきた情報をまとめなきゃならない」
「…思っても無いくせに。
ハァ、いいなぁ。 クーラーの効いた部屋で
コーヒー飲みながらデスクワークですか、ハッ!」
仁が全力の皮肉を込めて言う。
「忘れたのか、ウチのクーラーは故障中だ。
夏の日差しのおかげでジリジリジリジリ温度が上がっていく部屋で
四六時中パソコンに向かって記録するんだぞ。
なんなら代わってやろうか?」
「イエ、遠慮します」
仁は申し訳なさそうに目をそらし、
そのまま外出の準備をする為に部屋に戻っていった。
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