1節

1/8
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ

 1節

 日本本土のほぼ中心。  長野県辺りに位置する森と山に囲まれた町、  『森羅町(シンラチョウ)』  名産と呼べる物も無ければ、  有名人の出身地ですら無いとんだ田舎町。  こんなへんぴな場所にも  気吹戸組の支部は存在する。  コンクリート造りの四角い簡素な建物。  壁は少しコケに侵食され緑がかり、  窓は茶色くくすみ、中の様子すら確認出来ない。  更には蜘蛛の巣がかかっている始末。  手入れが全くされていないそれは、一見すると完全に廃墟だ。  入り口の木製の看板には青と白の幾何学的な模様と    ~気吹戸組 森羅支部~     の文字が見える。 この物語はここから始まる。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!