1節

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 「ん……おぉぉ、もう朝か……イテテ」  ここでようやく永喜が起きた。  デスクの上で寝ていたからか、寝違えたらしく、  痛そうに首を押さえて、どこかにあるはずのサロンパスを探している。    「司令、ようやく起きましたか。  もっと早く起きてくれないと困りますよ。  それに今日は京都の本部に呼ばれているのではないですか?」    賢人が台所から声をかける。  「ん……本部ぅ?……あぁ!? わっすれってたぁ~!! あぁあぁあ、ユ、ユイ君、今、今何時?」  「えっ……あ、8時40分です……よ?」  それを聞いた途端、永喜の顔が青ざめていく。  本部から伝えられた集合時間は7時。  つまり永喜は1時間と40分の大遅刻である。    「あぁ…終わった。 早乙女 永喜60歳、  せめて可愛い子ちゃんと結婚したい人生でした」 
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