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コンビニ店員の吉田真一は、今日もこみ合った時間が過ぎて、店長がいつものように疲れきった顔で、吉田と今日一緒の森さんに
「休憩もらいま~す」と猫背気味な格好でバックヤードに消える。
吉田真一は、荒れ果てた売り場の整理をして、森さんに、タバコの整理とレジをやってもらう。
吉田は、唐揚げをあげに、油の前でフト思う。
自分がこの仕事を始めた理由を……
昔を思い出した。
仕事をするのは、お金がほしいから、それか、昔から夢があってそれを叶えた人など……
でも、大抵はお金がほしくて、時給が良い所を選ぶ。
なので、職業安定所や面接や履歴書などで、
「なぜこの仕事を選んだのですか」と聞かれたりする。
口が裂けても
「お金がいいから」など言えない。
なので、いつも曖昧な理由になっていた。
吉田真一は
「この仕事にあこがれまして」や
「御社の企業理念が私にあっていて」など、言えなかった。
何か、言葉の違和感で口にできなかった。
特に、自分の事を私等の主語を使うのも吉田にとっては、使いたくなかった。
吉田真一が、コンビニ店員をこの仕事を始めた理由は、実は、何となく始めただけでなかった。
実は、吉田真一が小学生のときにさかのぼる。
小学校の帰り道に、吉田が腹を痛くなった。
学校でしようものならば、犯罪者扱いされる 。
それが、嫌で便を我慢して、トイレを探していると、いつも通らない道を行くと一軒のコンビニを発見した。
吉田真一は、そのコンビニへ入り、店員の顔も見れないまま、トイレにこけ混み、ホッとしたとき、ズボンのチャックが開かなくて、出す準備をしていたため、そのまま、してしまった。
その後は、地獄で、少し時間がたち、パンツなどに着いた物を必死にトイレットペーパーで拭き取り、ズボンをはく。
気持ち悪い下着のまま、トイレからでる。
すると、若い店員が吉田を見ていた。
吉田は、その若い店員の名札につい目がいくと、名札には、店長と書いてあった。
若いのに店長かと思いながらも店を変な歩き方で出ようとする。
すると、その若い店長が
「こっち来て、ちょっと待ってて」と声を
かけられた。
吉田が、少し待ってると
若い店長が
「これ使って」とパンツを渡すと
「これに、変えるだけでもいいだろ?」
と吉田が、漏らしたことを分かっていた。
吉田は、受けとり会釈して、再びトイレに入ってそのパンツをはいた。
出てきた吉田に若い店長は
「大丈夫か? 一人で帰れるか?」と聞いてきたので
「はい、大丈夫!ありがとうございます」と礼をした。
そのコンビニを後にした。
そのあと、そのコンビニを訪れたが、その若い店長は、もういなかった。
吉田は、その日の出来事は誰にも話をしたことはなかった。
この時の出来事がコンビニの店員って格好いいと思い店員になろうと思った一つの理由だった。
そう思っているうちに、店長が、休憩が終わり森さんが先に入る。
店長は、売り場を見て
「じゃあ、僕はバックヤードにいるから」と言って消えていく。
吉田真一は
「はい」と言いながらも、こんな店長もいるんだと思ってしまう。
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