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私は、ゆっくり目を開けた。
視線の先で空が白み、朝方の冷たい空気が窓ガラスに結露を作っているのが見えた。
冬の朝の寒さをビジュアルで感じ、寝たフリでなく、本気で二度寝したいと思った。
ピピッとアラームが鳴る。
「…ああ、そうだ…」
今日は朝イチの仕事があった。しつこく警告音を発する携帯を操作し、切った。
私は毛布を素肌に巻いて、新しい服を取りシャワールームに向かう。
全身を洗いながら、翔琉が付けた痕がないか確かめる。見える所にはない。
潮時かもしれない…
シャンプーを泡立てながら、ボンヤリと考える。
新しい部屋をマネージャーに見つけて貰おうか…
昨夜、津久井がいつ帰宅したか分からなかった。もしかしたら一部始終、母屋の暗闇から見てたのかもしれない。
そう考えると。身震いした。
うっかりシェードを閉め忘れた自分が悪いのだが、行為を当事者以外に見せる嗜好はない。
仮に彼が私と翔琉の行為を見ていたら、どういう行動をとる?
服を身に付け、髪を乾かす手は忙しく動くのに、思考が停止している。
終わった事だ。
…本当に?
私は自問自答しながら、ドライヤーの電源を落とした。
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