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女を暫く抱いていない。
その気になれない。
かといって、男とも交わっていない。
ベッドに腰をおろす。
何となく虚無感。
自分の姿を見るともなしに、鏡の中に発見する。
瞳が虚ろな男がいる。
彼女を抱けなくて、苦しいのだろうか?
只お互いが欲望を発散し、狂おしい位の快楽を何度も追求したのは、愛でななかった筈だ。
この寝室に繰り返し入れた女は、彼女一人。
最後に彼女がこのベッドの上にいたのは、数ヶ月前。翔琉と付き合う直前。
その時の寝乱れた彼女の姿は、今でも思い出せる。
振り返ると掛け布団が捲れ、シーツが見える。
その白さは、彼女の肌の様。
シーツに手を這わせると、冷たい感触。
それは度々撫でた彼女の髪の様。
絶頂を迎え男の欲望を搾り取った彼女は、口の端から涎を垂らし弛緩した表情だった。
俺は目を閉じ、何度目かの回想に耽った。
いつも通り、下半身が疼く。
興奮してきて口が乾き、唇を舐める。
ゆっくりとベルトを外し、ボタンもとる。
ジッパーを下ろし腰回りを緩める。
おもむろに下着の中のモノを取り出す。
十分存在感を醸し始めてるソレに手を添える。
コレは熱い彼女の中を縦横無尽に動いた。
あの時の様に包まれたい。
突いて絡みつかれ、解放したい。
彼女は上下の口で、俺のを味わってくれた。
早急に熱い想いが溢れ、強く握り擦った。
「はっ…あ」
だらしない声が続く。
目を開けると、飢えた男が鏡の中にいた。
この飢餓感はいつ終息するのか?
欲情する相手は、もう分かってる。
「ふっ!」
限界点に達した俺は、白い液体が爆ぜた。
ねっとりと手に纏わり付いたのを無視して、俺はベッドに倒れこんだ。
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